店主がへラルボニーを知ったのは、まだ彼らが「MUKU」というブランド名で活動していた頃のことでした。
ある日ツイッターを眺めていたら目に留まった、素敵なデザインの傘。あまりにも素敵だったので思わずWebサイトをクリックすると、そこには傘以外にも、ネクタイやブックカバー、レザーボールペンなど、色彩豊かで個性的で斬新なデザインのプロダクトが並んでいました。
そしてのちに、これらが、知的障がいのある作家の方々が描くアートだと知ったのです。
「MUKU」は法人化され、今ではへラルボニーに。これらを手がけているのは松田兄弟で、彼らには重度の知的障害をともなう自閉症のお兄さんがいます。「ふつうじゃない」ことに対する世の中の目に疑問を持ってはじめた事業。
へラルボニーはどんどん企業規模も大きくなり、福祉を起点に新しい文化をつくり続けています。
「ふつう」から外れてしまうとまだまだ生きづらい今の世の中で、「ふつうじゃないことは可能性だ」と声を大にして言い、それを本当だと実感させてくれる彼らは、世の中の希望だと思います。
この本は、へラルボニーを創業した松田兄弟の軌跡が詰まった一冊。ぜひ、「ふつう」や「常識」といった言葉について考えている人々に届いてほしいです。
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著者:松田崇弥・松田文登
出版社:新潮社
サイズ:四六判
ページ数:192ページ
発行年月:2022/10/19