aruと同じ、岡山県倉敷市に本社を構える「倉敷帆布株式会社」。
「倉敷帆布」というロゴが入ったトートバックを見たことがあるという方は、少なくないのではないでしょうか。
帆布とは「撚り糸を使った厚手の平織物」のこと。「キャンバス生地」と言うとピンとくる方もいらっしゃるかもしれません。体操マットや跳び箱、スニーカーやバッグなど、私たちの日常生活の中でもたくさん使用されていて、天然繊維の生地の中では最も分厚く強度があり、通気性、吸湿性にすぐれています。
1888年に創業し、135年間この地で産業を営み続けている倉敷帆布さん。私も実際に工場を見学させていただきましたが、重ねられてきた時間の長さ、そこにある営みの尊さが、機械、建物、職人さんの手や眼差し、空気──どこかしこに宿っていて、くらくらと感動してしまいました。
『An Ordinary Day』は、そんな倉敷帆布の日常風景が一冊になった写真集。岡山県在住の写真家・中川正子さんが写真を撮り下ろされています。
受け継がれてきた伝統の中にあるのは、そこに根ざしている人々の日常。「An Ordinary Day(普通の一日)」という本のタイトル通り、「日々の連続」が歴史を生み出していることを、ありありと感じさせてくれる一冊です。
帆布を思わせるざらざらとさわり心地のよい質感の表紙や、帆布の畳まれた生地をイメージしてページは2つ折りにされているなど、装丁もおもしろい。
最後には、中川さんによる、倉敷帆布を訪ね、写真を撮り、そこで働く人々に耳を傾けたのちに書かれた文章も。
“それぞれの毎日の喜びも、葛藤も、退屈も、情熱も。年表には決して載らない、呼び名のつかないできごとや思いが、静かにそこにある。”
ものづくりに興味がある方、日常の営みにあらためて目を向けたい方に特におすすめの写真集です。ぜひ、お手に取ってみてください。
=========
発行:倉敷帆布株式会社
サイズ:182mm×238mm
ページ数:120ページ
※表紙は6種類ございますが、ランダムでのお届けとなります。